土木デザイン設計競技 景観開花。2014

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株式会社 ドーコン

優れた景観は地域の魅力を高め、人の心を豊かにし、文化の形成に貢献します。ヨーロッパの国々がそうであるように、人々の生活に不可欠な道路や河川などの社会資本は、地域の歴史・文化と生態系に配慮しながら、使いやすく、安全で、美しくあるべきです。

当社では、地域の個性ある景観の成り立ちをしっかり理解した上で、様々な分野の専門技術者が連携しながら、魅力ある景観づくりに取り組んでいます。

本社:〒004-8585 札幌市厚別区厚別中央1条5丁目4番1号
電話番号:011-801-1500
URL:www.docon.co.jp

―『仙台流儀を育む橋』 仙台地下鉄東西線広瀬川橋りょう―

平成25年度 土木学会田中賞(作品部門)受賞

広瀬川地区橋りょうは、仙台市交通局が建設を進めている地下鉄東西線(平成27年度開業予定)のうち、広瀬川に架かる橋梁(広瀬川橋りょう)と西公園を横断する高架橋(西公園高架橋)です。

架橋地点である広瀬川を含めた青葉山周辺は、市のアイデンティティを保つ重要な景観的シンボルとして位置づけられており、この周辺環境と調和しデザイン的にも優れた橋りょうを実現するため、『広瀬川橋りょう他設計競技』が行われました。弊社は、この設計競技において、迷惑施設になりかねない「公園を貫く橋」を「新たな活動の生む舞台」に変換したいと考え、遠目には自然風景に埋没しながら、近づくにつれて粋な工夫を見せるというダブルフェース(二面性)を持ちつつ、降っても照っても役立つひとつの「公園装置に徹する橋」を提案し、最優秀賞を受賞することができました。

広瀬川橋りょうは、最大径間70mの3径間連続PRCラーメン橋です。張出しの大きな逆三角形断面の主桁が、ユニークな桁裏の表情を創出しました。この造形は昭和初期より大橋が築いてきた空間を尊重し、大橋とのダブルシルエット(同時眺望)を強く意識したものです。

また西公園高架橋は、支間わずか5mのRCスラブ式CFT柱ラーメン橋で、桁下は大きく張り出した天井と列柱が魅力的なプロムナードを創りました。

地味な姿ではありますが、ここで生まれる市民の活動と美しい自然が、やがては「仙台流儀を育む橋」に成長させてくれることを期待しています。

広瀬川橋りょう(横構図)

掛け違い橋脚

西公園高架橋(横構図)

LED照明

種差海岸インフォメーションセンター

平成26年に竣工した、三陸復興国立公園種差海岸階上岳地域の自然・文化を紹介・解説する環境省の施設です。全国の都市をイラスト風の鳥瞰図として表した吉田初三郎が制作拠点としたことから、多くの文化人も訪れた景勝地であり、その景観に相応しい地域材を利用した切妻屋根と下見板の外壁の平屋の建物としています。

建物内外に、自然とその恵みを知り・学び・体感できる、展示・体験・広報のための場を設けています。大きなガラス窓からは、種差海岸の独特の海岸の風景を楽しむことが可能ですし、自然・暮らし・地域の旬の情報も得られる施設としています。展示空間では自然や地域の文化を伝える他、レクチャールーム、中庭(体験活動エリア)、トレイルインフォメーションなど各種のスペースを設けています。

現在は、この施設を用いて、「いざなう場」、「生み出す場」、「伝え育む場」、「つながる場」の4つのコンセプトのもと各種解説案内や体験プログラなどの事業が展開されています。

また、隣接する施設についても、八戸市の休憩所として同時に整備されました。いずれの施設についても、ユニバーサルデザインに配慮した、明るく使いやすい施設づくりを目指しました。

(種差インフォメーションセンター:青森県八戸市大字鮫町 延床面積 426㎡ 木造平屋建)

全景その1

全景その2

内部展示室

―自然・社会環境に調和したダムづくり 北海道当別ダム―

当別ダムでは本格的な設計の始まる前に、地元自治体、住民、河川管理者、学識経験者からなる「当別ダムグランドデザイン検討会」を立ち上げ、周辺の自然・社会環境に調和し、地域に根ざしたイメージを表すダムづくりを目指して、デザインについて検討を行ってきました。

当別ダムは、世界初の台形CSGダム形式を採用し、堤高52.0m、堤頂長432m、総貯水量74,500,000?を誇り、平成24年6月には試験湛水を終え完成しています。

完成したダムを見てみると、当時のコンセプト通りにダム堤体越流部は、機能と経年変化による汚れ方を考慮した形状(常用洪水吐部と非常用洪水吐部の堤体下流面に仕切りを入れる)になっています。

ダム全景

ダム堤体越流部 / Photo: Sadamu Saito